11月21日 天気予報が全くはずれて、気持ちの良い秋晴れの一日。

 やはり11月は、季節なのだろう、美術館は毎日忙しくすぎていく。事後報告になるが、3日から12日まで、村田の街の中心にある蔵の家で、佐藤才子さんがコーデュネイトした「美術計画」というグループ展に出品していた。忙しいと言っている手前、今回は出品無理無理とか考えていたのだが、試験が近くなると模型を作りたくなる心理と同じに、なんだか、ヘンに高揚して時間を盗んで昔作った作品をリサイクルしてしまった。僕は、ほんとに「インスタレーション」向きではなく、ちゃんと創った、作品を環境に関係なく極唐突に展示してしまい、いつも少し自己嫌悪する。

 6日に、山形酒田の近くに住む、小3と5才の男の子がいる昔からの友人一家が、仙台に遊びに来た。6日は月曜で動物園を始めほぼすべての子供が行くべき施設はお休みなので、どうしたらいいだろう、という相談。良い機会だから、街の探検に出かけよう。前に書いたことがある「長町モールで待ちあわせ、電車と徒歩と地下鉄を使った、都会のお散歩」をした。どこかに行くのではなく、ぶらぶらと、周りをきょろきょろ見ながら、 お母さんはとちゅうで「GAP」を堪能し、その間にお父さんは仙台に出てこなければいけなかった大事な人に会う用事をすませ、僕と子供たちは一番町を2,3ブロック、あっちこっちの店やショウウインドウをのぞきながら探検をし、お腹がすいたので昼休みの混雑のすんだアジア食堂の2階にみんなで上がり、なんだかヘンな味のスープでタイカレーを食べ、黒人のお兄さんをびっくり、でもそっと見ながらヨドバシカメラまでアーケードを歩き、ほんとは、「ゲーム買うんだ」といきごんでいた(お母さんとお父さんは、だから、行かない方が良いのではないかと言っていたのだが)のだけれど、そのものすごいゲームの量(彼らの町では、おもちゃ屋さんの一角に1スタンドあるだけなのだそうだ)に圧倒されて早々に退却し、初めて地下鉄に乗って、モールに内側から着くと、これまた、向こう端がかすんで見えない広さのデパートで、いやはや何とも、もうすっかり疲れたのだけれど、興奮して居眠りできない状態で、子供たちの一日はすぎた。でも一番びっくりしたのは、電車の切符って、自分で計算しなくても、少し余分にお金を入れて、行き先のボタンを押せば、機械がかってに計算しておつりや切符をはき出してくれることだった。子供たちがおもしろがることは、大人が思っていることとは、微妙に、しかし確実にずれながら、組み立てられていく。
 2日と7日には、仙台市内の幼稚園の年長組の連中と長い、ずうっと歩く本当の探検。この人たちは、もう何回も美術館に来て、僕と、美術館内の探検は十分に経験している人たち。初めの人たちとは、美術館で落ち合い、広瀬側に沿って、河原を歩いていって、原っぱでお弁当を食べ、銭形地蔵を見て、評定河原橋まで行って、園バスに来てもらって帰園。次の人たちは、仲瀬橋で待ち合わせ、ほぼ同じルートで行って御霊屋に至り、鹿落ち坂向かいの河原公園を通って縛り地蔵を経てお墓の裏から道に出て愛宕大橋の側の幼稚園に帰るというルート。各日2万歩を超えて歩いたかな。何人かドブに足首まで落ちて、ちょっと泣いたり、鬼って言ったのに、銭形不動は、全然おっかなくなかったりしたけれど、疲れなんか感じる暇もないほど充実した一日だった。何しろ、彼らの上に次から次に初めてのことが起こるのだ。一緒に見てびっくりして息をのみ、顔を見合わせて大声で笑うときの心うきうきったらない。
 ううむ、なるほど、こう書いてみると、なぜ、更新できなかったか少しわかってきた。書いたり読んだりするより、一緒にやってる方が、ずうっとおもしろいんだな。このほかの日も、何回か、自転車で阿武隈川の河原を走ったりしたしなあ。おっと。アリとキリギリスの件は又この次になってしまった。