8月の末に、本当にしばらくぶりで、競技会を「見に」行った。それは、蔵王エコーラインのあっち側の終点にあるスキー場で行われた、マウンテンバイク(自転車)の耐久レースで、競技会といってもフェスティバルとして行われた会だったので、むしろ真剣な楽しさに満ち満ちていた。
快晴の、秋風が吹き始めた、広いゲレンデの草むらの中に腰を下ろして、次々目の前を走り去る一生懸命の人たちを、双眼鏡も動員して、「見る」のは、充実した暇つぶしとしては実に豊かな時間の過ごし方だった。僕は、モーターサイクルを巡っては、選手として幾つかの大会に出場し、何回かの大会を主催したりしてきたので、その両方の視点で楽しめた。選手として参加するかはともかく、これからも機会があったら見に来ようと、その時思った。
ただ、一生懸命ペダルを踏む人たちを見ながら、僕が考えていたのは、しばらく前に構想した「仙台トライアングル」という遊びのことだった。
スタートは、広瀬川が、青葉山にぶつかって大きく蛇行し、市内にはいるために再び向きを変える、三居沢の河原。堤防の上を来た道を山側の突き当たり(トイレ駐車場有り)に向かい、そこから市有林にはいる。初めは、長い上りの階段だ。もみの林を抜け、宮教大の裏手、元金属博物館手の広葉樹林帯を通り抜け、市有林南端からバス通りを横切って、青葉台バス停終点にいったん出て、その先右手に続く国有林へと移る。東北道の脇をかすめながら山を下り、そのまま南をめざして高速道の下をくぐり、太白山自然観察の森を登る。太白山頂にチェックポイントを置いてもいいが(確かに見晴らしは最高だが)、ま、そのへんは軽く流して、鎖場下あたりで太白山は折り返し、林道を下って国道286を横切り、茂庭荘方向に進んで、東北縦貫道の東側すぐ下あたりから名取川に降りる。名取川をそこから下れば、栗木橋下に一カ所堰があるだけで、そこをのり越えれえば、広瀬川との合流点である日辺までは、適当な緩急のある広い流れのまま、一下りだ。20年前にはオフロードバイクで走り回った、日辺の芦の原だった河川敷の上を南道路が走っている。あたりの河原も、今ではすっかり整備されてしまった。ここから広瀬川を逆上り、千代大橋、広瀬橋、宮沢橋、愛宕橋と市内に向かって進んでいけば、遊歩道や、抜け道や、普通の道路が、野外博物館として上流三居沢まで、整備されている。ほら、戻ってきたでしょう?というルート。
さて、何で移動するといいか/快適か。三居沢から茂庭荘は、人間の足(走る)。茂庭荘の前から日辺までの名取川は、船(カヌー)。そして日辺から三居沢までの遡上は、自転車(ATB)がいいのではないか。すぐ競争はできそうだけれど、本質的なエデューロとして行うなら、順位は、早い遅いではない方法で付けたい。というより、常設コースとして、いつでも、ふらりと出かけられるといいな。各々のポイントに、デポジット(資材留め置き所)があって、自転車や、船が置いておけるようにして。まず最初に、全部徒歩(もちろんランニングでも、止めるものではないが)で、ぐるっと一回り、というのをお奨めする。次に、全部自転車。こっちの方が、体力的には少し、楽かな。川のどっち岸を使うかは、各自考える。これだけでも結構面白い。この距離でも、確かに、川は、高い方から低い方へと流れていることは、うんざりするほどじっくりわかる。というような、遊び方。
やっぱり、速い人が偉いのかなあ。何とか、速い遅いじゃない、遊び方の所で遊べるともっと面白いのだが、と思うこと自体が、負け惜しみなのかなあ。久しぶりで見た、マウンテンバイクの競技会の時間に身を浸しながら、しばらく歩いていないこの辺の周りを思っている僕がいた。