酸素が体に満ちる。
酸素は燃えている。
6月 3日
ほの暖かい、軽い風の日。多分、岩沼だけだな。
今月は毎週土曜、児童館との活動がある。坪沼八幡宮の神社の森と、児童館の園庭でと。で、確かそのうちの何回かは、午後遅くに集まって、夜遅くにホタルを見る会だったかな?最近は、ホタルを見るって、何?と言うところから始めなければならない。
前は、蛍の専門家がやってきて、説明してくれたのだけれど、ううむ、それは、美術館で、作品の前に学芸員を最初から呼び出してしまうことと同じだった。みんな聞くけど、そのまま出ていくのね。何が面白いのだろう、に関しては、何もお話ししない。で。最近は、僕が最初にお話。あえて、再び、話すが、僕は、鑑賞の専門家なんである。ううむ、困ったもんだ。鑑賞はこう言うふうにどこでも、いつでも、必要だ。
こういう活動は、例えば、朝10時から子供達が来る。僕は遅くとも9時には着いていたい。だからその日は、ラジオ体操が始まる時間に起こしてもらう。お爺さんになると、何事もーゆっくりやっている気は毛頭無いのだがー時間がかかる。今日はこうやってああやるから、この靴下を履いて、このベルトにするとか。あ、ベルト変えなきゃ。そして新たに二つのいつもはつけていないナイフホルダーを通して、云々。あっと言う間に時間が過ぎる。若い頃と同じことをしているのに。
ま、それはいい。とにかく、何はともあれ、坪沼八幡の裏の駐車場に、9時ちょっとすぎに、着く。車の後ろに折りたたみの椅子を出してそこで、スパイク付きのゴム長靴に履き替える。やっとほっとして、頭を上げると、おう、今日はなんといい天気ではないか。で、ぼうっとしばらく椅子に座って、周りの山を眺める。眺め続ける。これを言いたかったのだ。ワークショップは。こういうふうに始まる。そういう余裕を作るのが、ファシリテーターの本業なのだと思う。
坪沼は、辺り一面を市民農園に貸し出している。指導付市民農園というのだそうだが、僕らもお世話になっている、土地の優秀な農家の人たちが、様々な農作業のアドバイスをしてくれる。だから。僕が着く頃には、時期によっては、広い駐車場がいっぱいになるくらい、人が集まる。で、一斉に畑に散っていき、農作業を始める。僕だけ、ぼやっと折りたたみ椅子に座って、山を眺め、空を仰ぐ。これどうなんでしょうねえ。
今までは、何も思わなかったのだが、この前の、もの凄く天気のいい土曜の朝、ふと、日本の美術教育のやる方向が見えた気がした。真摯に農作業をするのはいい。これこそが、日本が世界に誇れる文化ではある。でも、終わったら、さっさと帰る前にー帰って、何かすることが決まっているのだろうがーちょっと、周りを眺めてみたらいいのではないか。こんなに素敵な場所なのだし。何か話にならない、無駄なことを一つ。たった一つ。そうか、僕は、そういうことをここでしていたのだったのか。ひとつどころではなく。